TM034. SmartLink バージョン 2008.1.1

９月に入ってからサンダーマックスのインターフェースソフト「スマートリンクIV」の最新バージョン２００８．１．１が公開されている。スマートリンクのConfigure ＞ SmartLink Updateと操作することでダウンロードが可能になっている。

この更新でたくさんの新機能が盛り込まれた。一度は縮小されたIAC-AUTOが「復活」している。

１）IAC Autoがリファインされた

IAC-AUTOは、ユーザーが設定したアイドリング回転数を正しく保つために適切な空気流量を設定する機能。かねてからその動作と段取りに問題があり正しく機能しない場合があった。前バージョンではいったんボタンが削除されるにいたったが、今回復活を果たした。IAC-AUTOが実行されるたびにIACオフセットをクリアするようになり、繰り返して実行しても期待どおりの仕事をするようになった。

２）新型のデータアナライザーを搭載

ToolsからAuto Tuned Points Analyzerを選択すると今まで見たことない表が開く。この表では「マップに一体どの程度の補正が加えられたのか」、その「補正の総量」を確認できる。全てのチャートにおいてモジュールが記録したオフセットの総量を示している。補正の量が多ければ多いほど、ベースマップの車体に対する適合度への「疑問」が増える。仮に、個別のチャートの細部を一つ一つ見る視点を「虫の目」だとすると、このデータアナライザーでは「鳥の目」でベースマップ全体を遠い視線で見渡すことができる。

３）前後シリンダーの燃料流量が見れるようになった

サンダーマックス「AutoTune」の最大の目的はユーザーが設定したAFRを、燃料の流量を補正しながら正しく保つことにある。その補正（オフセット）の幅は「CLP OFFSETS値」でユーザー自身が決定する。これはオートチューンの「守備範囲」そのもので、これを超えて「オートチューン」することはできない。これまでの最大の問題点は、自分で設定した守備範囲が本当に自分の車体の条件を全てカバーできているのかどうかを知るすべがなかったことだ。燃料補正のオフセットは全てブラックボックスの中。したがって、今までエンドユーザーは生身のお尻で補正の結果を感じるか、アドバンスソフトを持つチューナーに見てもらうしか手立てがなかった。【何かがおかしい】と思っても、参考になるチャートやデータがない・・・。今回の更新では、この部分にスポットライトが当たった。モジュールと【LINK】してから、READ “Learned Fuel Adjustments”を実行すると学習結果の中身を簡単に確認できるようになった。

４）ジッパーズにデータを直送＋解析依頼する機能

Helpのメニューが増えた。これを実行すると、モジュールのデータやログの内容をジッパーズのサポート窓口に直接Emailすることができる。VirginHarleyの掲示板を見ていると「サンダーマックスにはログをみる機能がない」かのような書き込みがあるが、これは間違っている。ダイノがない場合、PCと【LINK】した状態で走行する必要があり、ログをとる作業が面倒か、あるいは物理的に難しい。しかし、いざやってしまえば、走行ログをサポート窓口に簡単に届けることが可能になった。（とはいえ、ログを検証するソフトがお粗末なことは否定できない。）

その他、細かいところでなにやらモニター項目や基本設定の項目が微妙に更新されている。

ということで、今回のソフトウェアのアップデートは編集方法やソフトの使い勝手を向上させる内容はなかったが、エンドユーザーにとっては待ち望んでいた機能が盛りだくさんとなった。特に前後シリンダーのオフセットが見えるのは、サンダーマックスが本当に仕事をしていた証を見るようで感動した。乗るたびに自分のチャートに補正値が追加されて、数値が変わるのをみるのは、まるで我が目で『ツルのハタ織部屋』を目撃したかのような体験だった。

＜＜この先、アドバンスソフトと融合？＞＞

それにしても、この機能・・・オフセットを見れるだけではすぐに物足りなく感じるのは確実だ。この先の話ともなれば、流量のターゲットポイントの編集と保存、つまり「新しいベースマップの作成機能」を次回更新の線引き項目として期待してしまう。ベースマップ作成機能を解き放つアドバンスソフトのシリアルナンバーが無制限に配布される時代をも予感させる。

次回はサンダーマックスの始動設定についてです