カム交換後のマップセッティングは前回パワーチェックをお願いしたダイノマン、東大阪の野口商会にお願いした。ショップではダイノマシンが新調されていた。真新しいいイエローの箱。こちらもテンション上がります。じっくりと燃調を見直してもらった結果、実にいろんな驚きがあった。
■ パワーチェック考察
1) トルク6%増大、トルク特性が変貌した
今回のカム変更で実際どれぐらいトルクが増大したのか。それはわずか6%にも満たない。しかし、トルクカーブは驚きの変化が現れていた。新しいカムは1700~5200RPMという広範囲で9kg-M以上のトルクをキープしている。これはノーマルの96%レベル以上のトルクを全域で出していることになる(@_@;
さらに、その特性は超低回転型。1600回転で急激に立ち上がったトルクはわずか2100回転でマックスに達する。その後は4600回転まで96%以上を維持。5200回転まで90%以上をキープできる。欲しいトルクがどんな場合でも手に入る。これが乗り味としてどう感じられるのか。
赤: Andrews 48H
青: 2006 DYNA STOCK CAM
2) 点火タイミングは「ストック」のまま
カムを変更したらタイミングの編集は必須のはずだと予想していたが、チューナー氏はタイミング・チャートに変更を加えなかった。そこで「一度、全域にわたってスパークタイミングを4度アドバンスして変化を見てほしい」と願い出たのだが、その結果、全回転域において出力が逆に落ちてしまった。結局、点火進角はストックカムのチャートのままがベストということに。
今回のカスタムはスプリングも排気量もストックのまま。このようなマイルドなカスタムの場合はタイミング・チャートを編集する必要はないのかも知れない。
マップセレクター画面(上画像)では、TC88用のマップにストック以外のカムの表記はない。「TC88」=「ボアアップなし」。今回、カムのリフトが2ミリ増加。それとオーバーラップが多少増えたぐらいだ。このSTOCKの表記は「STOCKを含むマイルドなカム」と想定すればよいかも知れない。チューナー氏は初めからこのことを見抜いていたが、こちらの謎解きにわざわざ付き合ってくれたのでした。チューナーの坂口さんに感謝します。
3) マフラーの特性
車検対応のデイトナマフラーの高い排気抵抗が超低回転域のトルクの出現に一役買っていると思う。パワーカーブはきれいな右肩上がりだが、チューナー氏は抜けの良いマフラーにしたらかなり変化がでると言っていた。やはりマフラーの選択に課題が残る。
■ 画面上での印象
今回のカム変更のきっかけはジョー・ミントン氏が書いた雑誌のコラム(当ブログ記事)だった。「街乗り用のカム = 吸気バルブの閉鎖が30度のやつで間違いない!」という切り口だった。今回それを実行したわけだが、エンジン特性はダイノの画面上で見る限り、少しトラクターっぽい。それがたまたま日本農耕民族が作ったマフラーと出会ってしまった。出来上がったトルクカーブは超低速向きの「へ」の字カーブ。農発か。
■ アイドリング
まず、アイドリングにはかなり変化が出た。一発一発が打刻されるようにが力強くはじけ出てくる感じ。多少大げさかな。平たく言ってもバイブレーションも音も3割増し。少しボコつく。耳だけでなく皮膚でも感じることができる。振動と音が強調されて、ノーマルとは少し違うテイストが出たと思う。空ぶかしは以前よりも敏感だ。RPMがよりすばやく反応する。
■ 滑らかに、力強くなったエンジン
乗った感じはこれまた一皮むけた感じ。走り出し軽く、そこからの伸びはストックと比べて遥かに滑らかになった。2速でヒネると肩の関節がグイグイ引っ張られる。何回転からドギャーーーーン!ということは決してないんだが、2速はそれなりに面白い。最近のトライアンフや新型のカワサキW800の加速感と似ている。乗ってみると「農発」や「トラクター」という印象はまったくない。
中低速のトルクはもう同じバイクとは思えない。ひとつのギヤでいろんな速度をカバーできるようになった。3~4速はオールマイティーと言っていい。低回転からアクセルをひねるだけでどこからでも加速、追い越しが出来る。高速道路では余裕のトルク感が楽しめるし、タンデムが楽になった。また、エンジンブレーキがかなりマイルドになり、加速・減速が均一になった。全体的に滑らかで力強いエンジンに変貌した。
もう3速と4速だけでイイ。それ以外はもう必要ない。そんなこと思った。06ダイナの5速は何をどうしようとトラクターだ。それ以上コメントできない。そしてトップギアに入れてみた。低回転でもスピードがそれなりに出る。でもエンジンはステディーで静か。長距離で期待がもてそう。96ciだったらどんな感じになるんだろう。長い坂道にさしかかってゆっくり手首をひねると「ス・パッ・パッ・パッ・パッ」 馴染みない音がすぐ後ろを追いかけてくる。音がおもしろい。
■ バルブ・トレイン・ノイズ
カム交換後、ノイズが多少増えた。ロッカーの辺りが少し騒がしい。バルブのリフトが1.9ミリ高くなっただけなのに結構繊細なものだ。プッシュロッドの再調整、オイル・チェンジで様子みて、それでもだめなら、前から気になっていたロッカーアームの遊びをチェックしてみようと思う。
次は「春・秋用のグローブを購入」です。
Unknown
にゃーー TC88はカム換えればストックのTC96より全てにおいて上回るじゃないですか!
排気量大きくてお得な感じで購入した動機を思い出すと、カム交換しないのはありえなくなりました。 どこから捻出しよう・・・
はじめまして
ネコミニさんに 紹介されまして 訪問いたしました
凄いですね ご自分で 交換ですか!
自分は 同じ06で サンダー制御ですが
カムを TW21に マフラーは S&Sスリップオンです
確かに 自分のと グラフを 比べますと
抜けのいい マフラーだと 特性が 違いますね~
自分は 4000回転が ピークですから
本来は 低速アップの為に TW21入れたのですが・・・
ショップでは 07のスクーミン入れた方が
低速が 上がるとの事でした
これからも 参考に させていただきますので
よろしくお願いいたします
ちなみに 自分のグラフは
ヤフーブログにて 公開中ですので
よろしければ 見てやってください <(_ _)>
Re: はじめまして
ネコミニさん、MOTO GAKI5さんご訪問ありがとうございます。
カム変えてやっとスタート地点に立った感じです。
MOTOGAKI5さんのブログ見ました。チャート見るとたしかに4000回転あたりで山ですね。こちらのグラフと比べてみると、カムの形状よりもマフラーの排圧の方が支配的な影響を及ぼすということがわかります。
デイトナ+ノーマルカムは、上のチャート見る限り完成度高い放物線でした。しかし、今回マフラーの抜けの悪さがはっきりと線に出てます。
今は走り出しでいきなりドンとマックスが来るのが新鮮です。あとは落ち着いててコントロールしやすい。意外性がないともいえますが。
TW21のローラーチェーン・バージョン(21H)は最後まで迷いました。定評のある良いカムです。僕は冒険してみようと思って、48を選択しましたが、今のところ低速トルクが存分に楽しめてます。やってよかった。これに飽きたら、マフラー変えようと思います。
ネコミニさんのカムのインプレ期待してます!
Unknown
48 これからも感想をいろいろ教えてください!よろしくお願いします!
楽しみに拝見させていただいております!
21と48 どういう体感の差が出るのでしょうか?
(・_・?)
体感
21と48は最後まで迷ったところですが、その差は想像するしかなかったです。
この2つの最大の違いはリフトの高さです。これは、ボアアップすると違いがはっきりとでるのではと思いました。
48の感想についてはまた書きますね。